ヘルプデスクAIで何が変わる?できること・メリット・導入方法を解説 | RightDesk
ヘルプデスクAIで何が変わる?できること・メリット・導入方法を解説

ヘルプデスクAIで何が変わる?できること・メリット・導入方法を解説

問い合わせ件数の増加や人手不足により、ヘルプデスクでは対応の遅れや担当者の負担が課題となることがあります。こうした課題への対応策として注目されているのが、ヘルプデスクAI(AIヘルプデスク)です。

AIや生成AIを活用することで、質問への自動回答だけでなく、返信案の作成や問い合わせの分類、対応履歴の要約、ナレッジ検索など、さまざまなヘルプデスク業務を効率化できます。

本記事では、AIヘルプデスクでできることや導入メリット、注意点、導入手順、サービスの選び方まで詳しく解説します。

AIヘルプデスクとは

AIヘルプデスクとは、一般的にAIを活用して問い合わせ対応やオペレーターの業務を支援する仕組みの総称です。社内ヘルプデスクから顧客向けのサポート窓口まで、幅広い業務で活用されています。

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AIを活用して問い合わせ対応を効率化する仕組み

AIヘルプデスクは、利用者が入力した質問を解析し、FAQやマニュアル、過去の対応履歴などから関連する情報を探します。

検索結果をもとに利用者へ回答したり、オペレーター向けの返信案を作成したりすることが可能です。

生成AIを活用するAIヘルプデスクでは、自社のナレッジを検索し、その内容にもとづいて回答を生成する場合があります。その手法のひとつが、RAG(検索拡張生成) です。ただし、参照できるナレッジや回答の生成方法はサービスによって異なります。

社内向けと顧客向けのAIヘルプデスク

AIヘルプデスクは、社内向けと顧客向けの2つに大きく分けられます。

社内ヘルプデスクでは、従業員からの問い合わせに対応します。PCの不具合やシステムの操作方法、アカウント、社内制度などが代表例です。

情報システム部門だけでなく、人事・総務・経理などでも活用できます。

顧客向けでは、商品やサービスの使い方、契約内容、注文状況、トラブルに関する問い合わせ対応を支援します。AIで解決できない場合に備え、有人対応へ円滑に引き継ぐ体制も必要です。

従来のチャットボットやFAQシステムとの違い

FAQシステムは、登録された質問と回答を利用者が検索・閲覧するための仕組みです。近年は、自然文検索や生成AIによる回答に対応した製品もあります。

従来のルールベース型チャットボットは、あらかじめ設定した選択肢やシナリオに沿って利用者を案内し、よくある質問への自動応答を行います。

一方、生成AIを利用するシステムは、質問の文脈や意図を解析し、関連するナレッジをもとに回答を生成できます。

AIヘルプデスクは、こうした自動回答に加え、サービスによっては問い合わせの分類・管理や、返信案の作成などオペレーターの業務支援まで行える点が特徴です。

チャットボットの種類や導入メリットについては、ホームページにチャットボットを導入するメリットと効果的な活用法で詳しく解説しています。

AIと人が担当するヘルプデスク業務の違い

AIは、よくある質問への回答やナレッジ検索、問い合わせの分類、返信案の作成など、定型的で反復性の高いヘルプデスク業務の効率化に適しています。

一方、クレームや複雑なトラブル、契約・返金に関する例外的な対応には、担当者の判断が必要です。

利用者の感情や個別の事情への配慮が求められるため、企業としての最終判断までAIだけに任せることは適切とはいえません。

共通のFAQやマニュアルを参照して回答案を作成できるため、担当者の経験やスキルによる回答品質のばらつきを抑えやすい点もAIの特徴です。

定型業務はAIに任せ、担当者は判断や配慮を必要とする問い合わせに集中するなど、AIと有人対応を適切に使い分けることがAIヘルプデスク活用の基本です。

AIヘルプデスクでできること

types of ticketing systems

AIヘルプデスクは、利用者への自動回答だけでなく、オペレーターの対応支援や問い合わせ管理など、さまざまなヘルプデスク業務に活用できます。

ここでは、AIを活用することで効率化できる主な業務を紹介します。

FAQやマニュアルを参照して質問に自動回答する

AIヘルプデスクは、FAQやマニュアル、社内規程、製品情報などを参照し、利用者からの問い合わせに回答できます。

たとえば、「パスワードを変更したい」「商品の返品方法を知りたい」といった定型的な質問であれば、AIによる自動応答が可能です。

利用者がAIとのやり取りだけで問題を解決できれば、オペレーターによる有人対応の件数を減らせます。

正確な回答を維持するには、参照する情報を定期的に更新する必要があります。FAQの役割や自己解決率を高める方法は、FAQサイトの魅力と効果的な活用法で詳しく解説しています。

オペレーターが使用する返信案を作成する

生成AIを活用することで、問い合わせ内容と関連するナレッジをもとに、メールやチャットの返信案を作成できます。

オペレーターは一から文章を考える必要がなくなり、AIが作成した案を確認・修正して送信できます。回答作成にかかる時間を短縮できるだけでなく、担当者による表現のばらつきも抑えやすくなるでしょう。

誤った案が生成される可能性もあるため、重要な問い合わせは人が内容を確認してから送信する運用が必要です。

問い合わせ内容の分類・情報抽出・担当部署への振り分けを行う

AIヘルプデスクの中には、問い合わせの内容や意図を解析し、「請求」「返品」「不具合」といった種類や、緊急度・優先度に応じて分類できるものがあります。

顧客名や商品名、注文番号、発生日時といった、対応に必要な情報を文章から抽出できるサービスもあります。

分類した結果を利用すれば、「請求は経理部門」「システムの不具合は技術部門」のように、適切な担当部署へ振り分けることも可能です。

分類項目や振り分けの条件は、実際の問い合わせ内容に合わせて設定する必要があります。

長文の問い合わせや過去の対応履歴を要約する

問い合わせの文章や過去の対応履歴が長い場合、担当者は内容を把握するだけでも時間がかかります。

AIを活用することで、利用者の要望や発生している問題、これまでの対応、現在の状況などを短く整理できます。

要約は、担当者の交代や、専門部署・責任者への引き継ぎにも役立ちます。

Microsoft Dynamics 365 Contact Centerの会話要約機能 のように、チャットや文字起こしされた音声会話を要約できるサービスもあります。

対応履歴からFAQやナレッジの案を作成する

AIヘルプデスクの中には、蓄積した問い合わせ履歴やオペレーターの回答を分析し、FAQやナレッジの案を自動で作成できるものがあります。

同じ質問が繰り返されている場合は、質問と回答を抽出し、FAQの候補として提示できます。担当者が内容を確認して登録すれば、FAQを一から作る負担を軽減できるでしょう。

AIが作成した案はそのまま公開せず、情報の正確性や表現を人が確認してから登録します。

外部システムと連携して照会や手続きを自動化する

外部システムやAPIと連携できるAIヘルプデスクでは、質問に回答するだけでなく、問い合わせに伴う照会や手続きを自動化できる場合があります。

近年は、AIが外部システムと連携し、情報の取得やチケット作成などの処理を実行するAIエージェント型の仕組みも登場しています。

たとえば、受注管理システムから注文状況を取得して回答したり、問い合わせ管理システムにチケットを作成したりする使い方です。

社内向けでは、本人確認や権限管理の仕組みと連携することで、パスワード再設定の受け付けや各種申請にも活用できます。

ただし、連携できるシステムや自動化できる処理はサービスによって異なります。導入前に、必要なシステムへの対応状況やアクセス権限を確認しましょう。

また、登録情報の変更や申請などを自動で実行する場合は、本人確認や承認フロー、操作履歴の保存方法まで含めて運用ルールを定めることが重要です。

ヘルプデスク業務にAIを活用する6つのメリット

AIが企業にもたらす変革:導入の背景と意義

ヘルプデスクにAIを導入すると、問い合わせ対応の迅速化や業務効率化が期待できます。主なメリットは、利用者の待ち時間短縮、オペレーターの負担軽減、組織内でのナレッジ活用などです。

問い合わせへの回答時間を短縮できる

AIは、FAQやマニュアルなどをもとに質問に関連する情報を探し、短時間で回答を提示できます。

オペレーターが複数の資料や過去の対応履歴を探す手間も減るため、問い合わせを受けてから回答するまでの時間を短縮できます。

自動回答によって利用者の待ち時間を短縮できれば、利用者満足度の向上にもつながります。

社内向けでは、従業員が問い合わせ対応を待つ時間が減り、本来の業務へ戻りやすくなる点もメリットです。

サービスによっては24時間365日の一次対応が可能になる

自動応答機能を常時利用できるサービスであれば、オペレーターの勤務時間にかかわらず、夜間や休日にも一次対応が可能です。利用者は営業時間の開始を待たずに、必要な情報を得られます。

すべての問い合わせをAIだけで解決できるわけではありません。回答できない場合は問い合わせ内容を受け付けて記録し、翌営業日に担当者へ引き継ぐなど、有人対応を含めた運用設計が求められます。

対応可能な時間や機能はサービスによって異なるため、導入前に確認してください。

オペレーターの負担を減らして複雑な問い合わせに集中できる

よくある質問への回答や情報検索をAIに任せることで、オペレーターの業務負担を軽減できます。これまで繰り返し行っていた定型作業を減らせるためです。

定型的な問い合わせへの対応が減ることで、担当者はクレームや複雑なトラブル、個別判断が必要な相談など、人による対応が求められる業務に時間を使えるようになります。

限られた人員を、複雑で重要度の高い問い合わせ対応に集中させられる点もメリットです。

担当者ごとの回答品質のばらつきを抑えられる

担当者の知識や経験に差があると、同じ質問でも回答内容や詳しさにばらつきが生じがちです。

AIが共通のFAQやマニュアルを参照して回答や返信案を作成することで、一定の基準に沿った案内がしやすくなり、回答品質の標準化につながります。

一方、参照するナレッジが古かったり、誤りを含んでいたりすると、安定した回答品質は保てません。一定の品質を維持するため、表現や手順を統一し、参照情報を定期的に見直しましょう。

蓄積したナレッジを共有・再利用しやすくなる

過去の対応履歴やベテラン担当者の知識をナレッジとして蓄積すれば、ほかの担当者による情報検索やAIの回答生成に再利用できます。

必要な情報を担当者個人の記憶や経験に頼らず、組織で共有できるため、ヘルプデスク業務の属人化を防ぎやすくなります。新人教育や担当者の引き継ぎにも役立つでしょう。

ナレッジを蓄積するだけでなく、検索しやすい状態に整理し、継続的に更新する仕組みを整えておきましょう。

社内で知識やノウハウを共有する方法については、ナレッジ共有とは?具体的な共有方法やポイントまで解説!も参考にしてください。 

問い合わせデータを商品や業務の改善に活用できる

AIを活用して問い合わせ内容を分類・集計・分析すると、利用者が困りやすい点や、質問が集中している商品・機能が見えてきます。

たとえば、同じ操作方法に関する質問が多い場合、マニュアルや画面表示に分かりにくい部分があると考えられます。

社内手続きへの問い合わせが集中しているなら、申請方法や案内を見直す判断材料になるでしょう。

問い合わせデータは、回答のためだけに使うものではありません。商品・サービスやFAQ、社内業務の課題を発見し、業務改善やサービス改善につなげられる点もAIヘルプデスクのメリットです。

FAQの整備や過去の問い合わせ分析など、AI以外の効率化方法については、問い合わせ対応を効率化する方法でも紹介しています。

AIヘルプデスクの限界と導入時の注意点

AIヘルプデスクの限界と導入時の注意点

AIヘルプデスクは問い合わせ対応やヘルプデスク業務の効率化に役立ちますが、すべての問題を解決できるわけではありません。

適切に運用するには、AIに任せられない業務や誤回答、情報管理などのリスクを把握しておくことが大切です。

クレームや個別判断など、AIだけでは対応が難しい問い合わせがある

AIは定型的な質問への回答を得意とする一方、相手の感情や個別の事情を踏まえた対応には限界があります。

クレームや複雑なトラブル、契約・返金・補償に関する相談などは、企業として個別に判断する必要があります。

緊急性や重大性が高い問題も、AIだけに任せるべきではありません。AIに任せる範囲をあらかじめ定め、有人対応が必要な業務と明確に分けることが重要です。

誤回答やハルシネーションが発生する可能性がある

生成AIは、事実と異なる内容をもっともらしく回答する場合があります。この現象をハルシネーションと呼びます。

誤回答のリスクを抑えるには、信頼できるFAQやマニュアルを参照させ、回答の根拠を表示できる仕組みを選ぶことが重要です。

契約や料金、手続きなど正確性が求められる内容は、AIの回答をそのまま採用せず、人が確認する運用を整えましょう。

古いナレッジを参照すると回答も不正確になる

AIの回答品質は、参照するナレッジの内容に左右されます。料金や手続きが変更されても、古いFAQやマニュアルが残っていれば、AIが過去の情報を案内する可能性があります。

導入前に、重複した文書や矛盾する情報を整理しましょう。導入後も、ナレッジごとに更新日や管理者を設定し、定期的に見直す必要があります。

AIの活用では、AIの性能だけに頼らず、回答の根拠となる情報を正しく管理する体制が欠かせません。

個人情報や機密情報を適切に管理する必要がある

ヘルプデスクでは、氏名や連絡先、契約情報、社内文書などを扱うことがあります。

データの保存場所や利用目的、保存期間、削除方法に加え、通信時・保存時の暗号化やアクセス権限を確認する必要があります。入力した情報がAIの学習に利用されるかどうかも重要な確認事項です。

個人情報保護委員会による生成AIサービスの注意喚起では、本人の同意を得ずに個人データを含むプロンプトを入力し、そのデータが回答の出力以外の目的で取り扱われる場合、個人情報保護法に違反する可能性があると示されています。

そのため、提供事業者が入力データを機械学習に利用しないかなど、データの取り扱いを十分に確認しなければなりません。

AIで解決できない問い合わせを有人対応へ切り替える仕組みが必要

AIが回答できない場合や、回答しても利用者が解決できなかった場合に備え、有人対応へ切り替える仕組みが必要です。

引き継ぎ時に質問内容やAIとの会話履歴も共有できれば、利用者が同じ説明を繰り返さずに済みます。緊急性の高い質問や特定のキーワードを含む相談は、最初から人につなぐなど、切り替えの条件も決めておきましょう。

導入後も回答精度を継続的に改善する必要がある

AIヘルプデスクは、導入するだけで一定の回答精度を維持できるわけではありません。回答できなかった質問や利用者から低評価を受けた回答を確認し、原因を継続的に分析する必要があります。

蓄積した問い合わせ内容や利用者の評価を分析することで、回答できていない質問や改善が必要な回答を把握できます。分析結果をもとに、FAQやナレッジの追加・更新、回答ルールの見直しなどを行い、問い合わせ対応の精度向上につなげましょう。

自己解決率や正答率などの指標を設定し、定期的に効果を検証することも重要です。改善を継続できるよう、担当者や評価の頻度もあらかじめ決めておきましょう。

AIヘルプデスクが向いている企業と導入前に確認したいこと

AIヘルプデスクの導入効果は、問い合わせ件数や内容、現在の運用体制によって異なります。定型的な質問が多い企業や、回答の遅れ・問い合わせ対応の属人化に悩んでいる企業では、対応時間の短縮やオペレーターの負担軽減といった効果を見込みやすいでしょう。

一方、ナレッジや運用体制が整っていない場合は、導入前にFAQやマニュアルの整備、運用ルールの策定を進めることで、導入後の混乱を防ぎやすくなります。

自社との適合性を判断する際は、問い合わせ件数だけでなく、定型的な質問の割合、有人対応にかかる時間、参照できる情報の量・正確性・更新状況を確認することがポイントです。

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定型的な問い合わせが繰り返し発生している

同じ質問が繰り返し寄せられている企業にとって、AIヘルプデスクは問い合わせ対応を効率化する有力な選択肢です。

営業時間や申請方法、パスワード変更などの定型的な質問をAIに任せれば、オペレーターの負担軽減につながるでしょう。

過去の対応履歴から発生件数の多い質問や回答内容を整理することで、AIを活用しやすい業務や自動化に適した範囲を見極めやすくなります。

問い合わせ件数が多く対応が追いついていない

問い合わせ件数が増えると、回答までの時間が長くなったり、対応漏れが発生したりすることがあります。

定型的な質問が大量に寄せられている企業にとって、AIヘルプデスクはこうした課題を改善する有力な選択肢です。

AIに一次対応や分類を任せれば、オペレーターによる有人対応が必要な問い合わせを絞り込み、限られた人員を優先度の高い案件へ振り分けやすくなるでしょう。

問い合わせ対応が一部の担当者に属人化している

特定の担当者しか回答できず、休暇や退職によって対応が滞る企業にとって、知識の共有は大きな課題です。

過去の対応履歴や担当者のノウハウをFAQやマニュアルにまとめてAIが参照できるようにすれば、ほかの担当者も情報を活用しやすくなり、属人化の軽減につながるでしょう。

複数の窓口や部署に問い合わせが分散している

メールや電話、チャットなど複数の窓口に問い合わせが届く企業では、対応状況の一元的な把握が課題です。

各窓口や既存の問い合わせ管理システムと連携できるAIヘルプデスクを選べば、問い合わせ内容の分類や担当部署への振り分けを効率化できるでしょう。

自社で利用しているチャネルに対応しているかどうかも、サービスを選ぶ際の判断基準のひとつです。

問い合わせ管理システムの主な機能や選び方については、問い合わせ管理ツールおすすめ6選!導入メリットと選び方を解説で詳しく紹介しています。 

営業時間外の問い合わせにも対応したい

夜間や休日にも質問が届く企業では、サービスによっては24時間365日利用できる自動応答機能が役立ちます。

サービスによっては、定型的な質問へその場で回答し、解決できない場合は内容を記録して翌営業日に有人対応へ切り替える運用も可能です。

最新のFAQやマニュアルが整理されている

FAQやマニュアル、社内規程、過去の対応履歴が整理されている企業は、AIヘルプデスクを導入しやすい傾向があります。

これは、正確で新しい情報がそろっていれば、AIが参照するナレッジの準備にかかる時間を短縮できるためです。

導入準備が必要な企業の特徴

問い合わせ件数や内容を把握できていない場合は、まず現在の業務を可視化しましょう。FAQやマニュアルが古い、運用責任者や更新ルールが決まっていない場合も、導入前にナレッジと管理体制を整える必要があります。

ナレッジが十分でなくても利用できるサービスはありますが、不足する情報を継続的に追加・更新できる運用体制が重要です。

すべての問い合わせを自動化しようとせず、AIヘルプデスクで対応する範囲と有人対応へ切り替える条件を決めておく必要があります。

AIヘルプデスクの導入事例

AIヘルプデスクの導入事例からは、導入前に抱えていた課題や、AIを活用して効率化したヘルプデスク業務、導入後に得られた成果を把握できます。

社内ヘルプデスクと顧客向けヘルプデスクの事例をもとに、具体的な活用方法を見ていきましょう。

社内ヘルプデスクの問い合わせをAIで効率化した事例

パナソニック ホームズ株式会社では、社内サポートセンターへの電話がつながりにくいことや、同じ質問への繰り返し対応、業務の属人化などが課題でした。

平日のみ稼働するサポートセンターでは、土日に寄せられる問い合わせへ迅速に対応しにくい状況もあったといいます。

課題を解消するため、情報企画部と経理部にAIヘルプデスクを導入し、AIで解決できない質問は有人対応へ切り替える仕組みも整えました。

パナソニック ホームズ株式会社の導入事例 によると、AIヘルプデスクのリリースから約3カ月で、電話による問い合わせの比率は約80%から約50%まで低下しました。一方、Teams上のAIヘルプデスクには月間約2,000件の問い合わせが寄せられています。

顧客向けヘルプデスクにAIや自動化ツールを活用した事例

3D開発プラットフォームを提供するUnityでは、事業の成長に伴い、顧客からの問い合わせが増加していました。

そこで、ZendeskのAIエージェントや自動化機能、セルフサービスを活用し、人員を増やさずに増加する問い合わせへ対応できる体制を構築しました。

Zendeskが紹介するUnityの導入事例 によると、約8,000件の問い合わせをセルフサービスで解決し、チケット化を回避したと報告されています。また、初回回答時間は83%短縮され、CSATは93%を記録しています。

導入事例を比較する際は、成果の数値だけでなく、問い合わせの内容や運用方法が自社と近いかどうかも選定材料のひとつです。

AIヘルプデスクを導入する7つの手順

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AIヘルプデスクは、サービスを契約するだけで期待どおりの効果が得られるものではありません。

現在の課題を整理し、AIを活用する目的や任せるヘルプデスク業務の範囲、運用方法を定めたうえで、小規模な試験導入から段階的に展開することが重要です。

1.現在の問い合わせ件数と業務フローを可視化する

まず、どのような問い合わせが、どの窓口に何件届いているかを整理します。問い合わせ内容や対応チャネル、担当部署、回答までの時間に加え、未対応・再問い合わせの件数も確認項目です。

業務の流れを可視化すると、担当者の負担が大きい工程や、AIを活用して効率化しやすい定型業務が見えてきます。

2.AIを導入する目的と測定する指標を決める

「AIを活用したい」という理由だけで導入すると、成果を適切に判断できません。

「定型的な問い合わせの自己解決率を高める」「初回回答時間を短縮する」など、解決したい課題を具体化しましょう。あわせて、導入前後の変化を確認できる指標を設定しておくことが重要です。

3.AIに任せる業務と人が対応する業務を分ける

問い合わせを内容や難易度によって分類し、AIに任せる範囲を定めます。よくある質問への回答や情報検索、問い合わせの分類は、AIで効率化しやすい業務です。

一方、クレームや契約・返金、複雑なトラブルには、有人対応が適しています。AIが回答を控える条件や、有人対応へ切り替える基準もあらかじめ設定しておきましょう。

4.FAQやマニュアルなどのナレッジを整理する

AIの回答品質を高めるには、参照する情報の整備が欠かせません。FAQやマニュアル、社内規程、商品情報、過去の対応履歴など、回答の根拠となる資料を洗い出します。

古い情報や重複した文書、内容が矛盾する資料は、そのまま登録せずに整理します。ナレッジごとの更新日や公開範囲を確認し、AIが参照できる情報の範囲も明確にしておきましょう。

個人情報や機密情報を含む資料については、登録の可否やアクセス権限の設定も検討対象です。

ナレッジを収集・整理して運用する方法は、ナレッジベースの作り方と効果的な知識共有システムの構築方法で詳しく解説しています。

5.必要な機能と既存システムとの連携条件を整理する

導入目的をもとに、自動回答、返信案作成、要約、問い合わせ管理、有人対応への引き継ぎなど、必要な機能を洗い出します。

メールやチャット、CRM、問い合わせ管理システム、社内ポータルなど、現在利用しているシステムとの連携可否も選定条件のひとつです。

候補となるサービスを比較できるよう、連携方法、同期するデータ、更新頻度、追加費用を一覧にまとめておきましょう。

6.運用責任者とナレッジの更新ルールを決める

AIヘルプデスクの導入後は、回答内容の確認と継続的な改善が求められます。

回答精度の評価、ナレッジの更新、システムやアクセス権限の管理について、それぞれの責任者を決めておきましょう。

企業の規模によっては1人が複数の役割を兼任できますが、承認や監査を含む権限の分離が求められる場合は、自社のセキュリティ規程に従います。

未解決の質問を確認する頻度や、古い情報を更新する手順も運用ルールに含めます。役割と更新方法を明確にすることで、ヘルプデスク業務の属人化を防ぎやすくなります。

7.一部の部署で試験導入し、利用者への周知と改善を行う

最初から全社へ展開せず、対象部署や問い合わせの種類を絞って試験導入するのが効果的です。

開始前には利用者へ目的や使い方を伝え、普段利用している問い合わせ窓口からアクセスできる環境を整えておきます。

試験期間中は、回答精度や利用状況、有人対応への引き継ぎが適切かを確認。回答できなかった質問や低評価の回答も洗い出し、FAQやナレッジ、回答ルールの改善に反映させます。

こうした検証と改善を重ね、あらかじめ設定した目標を達成できた段階で、ほかの部署や問い合わせ業務へ展開するとよいでしょう。

AIヘルプデスクサービスの選び方

AIヘルプデスクは、サービスによって対象とする問い合わせや搭載機能、連携先、料金体系が異なります。

機能数の多さだけでなく、自社のヘルプデスク業務や問い合わせ対応の課題、運用体制に合っているかを基準に選びましょう。

RightDesk

問い合わせ管理やカスタマーサポート業務の効率化を検討している場合は、RightDeskの機能や特徴も参考にしてください。

利用目的と必要な問い合わせ窓口に対応しているか

まず、社内ヘルプデスクと顧客向けヘルプデスクのどちらに利用するかを明確にします。同じAIヘルプデスクでも、社内文書の検索を得意とするものや、カスタマーサポートに適したものなど、サービスごとに特徴が異なるためです。

メール、Webフォーム、チャット、電話、Teams、Slackなど、現在利用している問い合わせ窓口への対応状況も確認します。

必要な窓口に対応していないと、問い合わせ情報を一元管理できず、かえって業務が複雑になる可能性があります。

自社のナレッジを活用し、回答の根拠を確認できるか

AIに参照させたいFAQやマニュアル、社内規程、商品情報などをナレッジとして登録・連携できるかを確認します。

登録できるファイル形式やデータ量、クラウドストレージとの接続方法、情報の更新方法も比較しましょう。

AIが作成した回答と一緒に、参照した文書や該当箇所を表示できることも、選定条件のひとつです。

回答の根拠を確認できれば、オペレーターによる内容確認や誤回答の発見がしやすくなります。部署や利用者ごとに、参照できるナレッジを分けられるかも確認してください。

既存システムと連携し、有人対応へ引き継げるか

現在利用している問い合わせ管理システムやCRM、社内ポータルなどと連携できるかを確認します。

連携によって、顧客情報や対応履歴の参照、チケットの作成、ステータスの更新など、問い合わせ対応に伴う処理を自動化できる場合があります。

AIで問題を解決できないときに、有人対応へ円滑に切り替えられるかも重要です。AIとの会話内容や利用者情報を担当者へ共有できれば、同じ説明を繰り返す負担を減らせます。

連携できるシステムと実行可能な処理は、サービスごとに確認しましょう。

データの利用方法やアクセス権限などのセキュリティ対策は十分か

問い合わせには、顧客の個人情報や契約情報、社内の機密情報が含まれることがあります。

入力したデータがAIの学習に利用されるか、どこに保存されるか、保存期間や削除方法はどうなっているかを確認してください。

通信や保存データの暗号化、利用者ごとのアクセス権限、操作ログなどの機能も比較します。

自社のセキュリティ基準や個人情報の取り扱いルールを整理したうえで、候補サービスが要件を満たしているか判断することが大切です。

料金・導入支援・運用サポートが費用対効果に見合っているか

AIヘルプデスクの費用には、初期費用や月額料金のほか、利用者数や問い合わせ件数に応じた従量料金、システム連携費用などが含まれる場合があります。

料金に含まれる機能と、追加費用が必要な範囲を確認しましょう。

FAQの整理、初期設定、回答精度の改善など、支援を受けられる範囲も比較対象に含めます。

料金の安さだけでなく、削減できる問い合わせ件数や対応時間を試算し、費用対効果を判断します。可能であれば、無料トライアルや試験導入で操作性と回答精度を確かめてください。

AIヘルプデスクの導入効果を測定する方法

chatbot center

AIヘルプデスクの導入効果は、回答数だけで判断せず、導入前の数値を基準として記録し、導入後の変化を問い合わせの解決状況・ヘルプデスク業務の効率化・対応品質の3つの視点から評価します。

自己解決率・自動回答率・再問い合わせ率で解決状況を確認する

自己解決率は、有人対応へ切り替えずに問題を解決できた割合です。

自動回答率だけでは実際に解決したか判断できないため、再問い合わせ率や有人対応への引き継ぎ率もあわせて確認します。

指標の定義や計算方法はサービスによって異なるため、集計期間や対象範囲を明確にし、導入前後で同じ条件を用いて比較しましょう。

初回回答時間・平均対応時間・削減工数で業務効率を測る

初回回答時間は問い合わせから最初の回答まで、平均対応時間はオペレーターが1件の対応に費やした時間を示します。

導入前後の数値を比較すれば、AIを活用することで、問い合わせ対応をどの程度効率化できたかを把握できます。

削減工数は、有人対応が不要になった件数と導入前の平均対応時間から概算できます。ただし、ナレッジの更新や回答の確認など、運用にかかる時間も考慮が必要です。

SLA・正答率・利用者満足度で対応品質を確認する

SLAは、サービス提供者と利用者の間で合意したサービス水準です。

SLAで定めた回答時間や解決時間の達成率を確認し、AIの正答率や誤回答率も別の指標として測定します。

利用者満足度については、問い合わせ対応後のアンケートなどを活用し、回答の分かりやすさや問題を解決できたかに加え、待ち時間が短縮されたかも確認します。

数値だけでなく自由記述も分析すれば、AIの回答や運用上の改善点を見つけやすくなります。

AIヘルプデスクに関するよくある質問

AIヘルプデスクとチャットボットの違いは何ですか?

チャットボットは、主に会話形式で質問に回答するための仕組みです。一方、本記事で扱うAIヘルプデスクは、自動回答に加え、問い合わせの分類・要約、返信案の作成、有人対応への引き継ぎなど、ヘルプデスク業務や問い合わせ対応全体を支援する仕組みを指します。

FAQやマニュアルがなくても導入できますか?

FAQがなくても、過去の対応履歴や既存文書をナレッジとして活用できるサービスがあります。ただし、情報が不足している場合は、導入後も必要なナレッジを追加・更新できる運用体制を整えておきましょう。

AIヘルプデスクは24時間365日利用できますか?

サービスによっては、AIによる自動回答を24時間365日利用できます。ただし、有人対応の受付時間やメンテナンスによる停止時間はサービスごとに異なるため、実際の稼働条件を導入前に確認してください。

AIを導入するとオペレーターは不要になりますか?

AIを導入しても、オペレーターが不要になるわけではありません。クレームや複雑なトラブル、契約・返金など、個別の判断や配慮が求められる問い合わせには、有人対応が必要です。

AIによる誤回答のリスクはどのように抑えますか?

誤回答を完全に防ぐことはできませんが、信頼できるナレッジを参照させ、回答の根拠を表示できる仕組みを選ぶことでリスクを抑えられます。正確性が求められる回答は人が確認し、誤回答や低評価を受けた回答を継続的に見直しましょう。

AIヘルプデスクの料金はどのくらいですか?

料金体系はサービスによって異なり、初期費用・月額料金のほか、利用者数や問い合わせ件数、搭載機能に応じた費用が発生します。システム連携や導入支援が別料金になる場合もあるため、複数社から同じ条件で見積もりを取り、費用に含まれる範囲まで比較してください。

まとめ|AIと人を組み合わせてヘルプデスク業務を効率化しよう

AIヘルプデスクは、質問への自動回答だけでなく、返信案の作成、問い合わせの分類、対応履歴の要約、FAQやナレッジ案の作成など、さまざまなヘルプデスク業務に活用できます。

AIを活用することで定型的な問い合わせ対応を効率化し、担当者は複雑なトラブルや個別判断が求められる問い合わせに集中できるようになります。

一方、誤回答や情報漏えいのリスクを抑える対策に加え、AIで解決できない問い合わせを有人対応へ切り替える仕組みや、継続的なナレッジ更新も欠かせません。

導入を検討する際は、現在の問い合わせ件数や内容を整理し、AIに任せる業務を明確にしましょう。

そのうえで、必要な機能やセキュリティ対策、既存システムとの連携、料金を比較し、一部の部署や業務から試験導入を始めます。

導入後は回答精度や自己解決率、対応時間などを測定し、結果をもとにFAQやナレッジ、運用ルールを改善しながら活用範囲を広げることが重要です。

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