クレーム対応マニュアルの作り方|基本手順・内容・NG行動 | RightDesk
クレーム対応マニュアルの作り方|基本手順・内容・NG行動

クレーム対応マニュアルの作り方|基本手順・内容・NG行動

クレーム対応マニュアルとは、顧客から苦情や不満を受けた際の対応方針、手順、判断基準をまとめた社内文書です。担当者ごとの対応差を減らし、一次対応から責任者への引き継ぎまで、組織として一貫した対応を進めるために活用します。

本記事では、クレーム対応の基本手順やNG行動、マニュアルに盛り込む内容と作成方法を解説します。対応履歴の共有やエスカレーション、事例のナレッジ化など、作成後の運用方法も紹介します。

クレーム対応マニュアルとは

クレーム対応マニュアルには、顧客からの苦情を受け付けた際の初期対応、事実確認、解決策の提示、責任者への引き継ぎなどを記載します。

カスタマーサポートやコールセンターなど、顧客対応に関わる部署で活用されます。クレーム内容は、製品やサービスへの不満、接客態度、説明不足、料金や契約に関する問題などさまざまです。

なお、国際規格のISO 10002:2018では、組織における苦情対応について、対応プロセスの運用や改善などの指針が示されています。日本では、対応する規格としてJIS Q 10002:2019が制定されています。

出典:日本規格協会「ISO 10002:2018」

クレーム対応マニュアルを作成するメリット

LINEを問い合わせ窓口にするメリットと注意点

クレーム対応マニュアルを作成する主なメリットは、対応品質の標準化と属人化の防止です。個人の経験や判断だけに頼らず、組織として統一した方針で対応できます。

また、判断できる範囲や責任者へ引き継ぐ条件を明確にすると、担当者が一人で抱え込む事態の防止にもつながります。

電話代行サービス株式会社が2026年7月に社内オペレーター50人を対象に実施した調査では、92.0%がクレーム対応で何らかのストレスを感じると回答しました。

対象者を限定した調査ですが、クレーム対応に伴う担当者の心理的な負担を考えるうえで参考になる結果です。

新人や対応経験の少ない従業員への教育にも活用でき、ロールプレイ研修の教材としても使えます。

適切な対応を組織として継続することは、顧客との信頼関係を維持し、顧客満足度の向上を目指すうえでも有効です。

出典:電話代行サービス株式会社「コールセンターのクレーム対応実態調査」(2026年)

クレーム対応の属人化を減らしたい方へ RightDeskなら対応履歴を一元管理し、担当者間の情報共有や引き継ぎを効率化できます。

クレーム対応の基本的な手順

クレーム対応の基本的な流れを、6つのステップに分けて解説します。具体的な対応方法は、苦情の内容や状況に応じて調整してください。

1. 相手の話を聞いて心情に配慮する

クレームを受けたら、相手の話を遮らず、不満や要望を聞き取りましょう。反論や説明を急がず、相づちや復唱を交えながら、相手の認識と自社側の理解にずれがないか確認します。

電話対応では、話すテンポや声のトーンに配慮し、感情的にならず冷静に対応します。

2. 不快や不便をかけたことに対してお詫びする

顧客に不快な思いや不便をかけたことが確認できる場合は、「ご不便をおかけし、申し訳ございません」など、速やかにお詫びします。 ただし、事実確認前に自社の全面的な責任まで認めず、確認できた事実に応じて対応します。

3. クレーム内容と事実関係を確認する

いつ、どこで、何が起きたのかを整理し、商品名や利用日時、過去の問い合わせ履歴などを確認します。 交換や返金、説明など顧客が求めていることも把握し、確認した内容は対応履歴として残します。

4. 解決策や代替案を提示する

事実関係を確認したら、交換や再対応、説明など、自社で対応可能な解決策や代替案を提示します。

その場で判断できない場合は回答を急がず、折り返しの連絡方法と回答予定日時を伝えます。返金や補償は、社内で定めた対応権限に沿って判断します。

5. 必要に応じて責任者へエスカレーションする

担当者の権限を超える補償を求められた場合や、対応が長期化している場合は、上司や専門部署へエスカレーションします。 マニュアルには、「どのようなケースで」「誰へ」「どの情報を添えて」引き継ぐのかを明記します。 詳しい進め方は、「エスカレーションとは?意味・対応フローとルールを解説」も参考にしてください。

6. 対応内容を記録・共有し再発防止につなげる

対応履歴を共有し、原因や結果を分析して改善策へ反映すれば、再発防止や商品・サービスの見直しに活用できます。

対応履歴を一元管理する具体的な方法については、「チケット管理で業務効率化!メリット・デメリット、ツールの選び方まで徹底解説」も参考にしてください。

クレーム対応でやってはいけない行動

クレーム対応では、担当者の言葉や態度によって、顧客の不満がさらに大きくなることがあります。避けたい行動とその理由、適切な対応方法を以下にまとめました。

NG対応

問題になる理由

適切な対応例

相手の話を遮る・否定する

不満を強め、事実を把握しにくくなる

最後まで話を聞き、要点を復唱する

言い訳や責任逃れをする

不誠実な印象を与える

確認できた事実と今後の対応を説明する

感情的に反論する

言い争いに発展するおそれがある

冷静な口調を保ち、事実確認に集中する

事実確認前に全面的な責任を認める

後の説明と食い違う場合がある

不便をかけたことに配慮し、原因を確認する

対応できない約束や過度な補償をする

社内ルールとの不整合を招く

判断権限を確認し、必要に応じて承認を得る

一人で抱え込む

対応が遅れ、判断を誤るおそれがある

基準に従って上司や専門部署へ引き継ぐ

特に注意したいのが、顧客の訴えを否定するような言い回しです。伝える内容が同じでも、どのような言葉を使うかによって、相手の受け止め方は異なります。

悪い例: 「でも、それはお客様の使い方の問題ではありませんか?」

良い例: 「ご利用時の状況を確認したうえで、原因と対応方法をご案内いたします」

顧客の主張をすべて受け入れる必要はありません。事実関係を確認し、担当者の権限を超える要求については、社内の基準に従って責任者へ引き継ぎます。

クレームとカスタマーハラスメントの違い

通常のクレームとカスタマーハラスメントは区別して考える必要があります。

カスタマーハラスメントとは、顧客等の言動のうち、要求内容やその実現手段・態様が社会通念上許容される範囲を超え、労働者の就業環境を害するものです。

具体的な判断や企業の対応方針は、厚生労働省の「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」を参考に、自社の状況に合わせて整理しましょう。

一方、商品やサービスに対する正当な苦情や改善要求まで、すべてカスハラに該当するわけではありません。

クレーム対応マニュアルでは正当な苦情への対応方針を整備し、通常対応の範囲を超える行為には別のルールを設けます。

2026年10月1日から、カスタマーハラスメント防止のための措置が事業主に義務付けられました。企業は相談体制の整備や従業員への周知など、法令に沿った対策を講じる必要があります。

出典:厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」

クレーム対応マニュアルに盛り込む内容

クレーム対応マニュアルには、基本方針や対応手順に加え、担当者の役割・対応権限、エスカレーション基準、記録・共有方法などを盛り込みます。

項目

マニュアルに記載する内容

基本方針

クレームに対する企業の姿勢や対応原則

対応手順

受付、事実確認、解決策、記録までの基本フロー

クレーム分類

内容、重要度、緊急性などの分類方法

役割・対応権限

一次対応者、責任者、専門部署が判断できる範囲

エスカレーション基準

引き継ぎが必要な状況と引き継ぎ先

記録・共有方法

記録項目、保存場所、社内での共有方法

チャネル別対応

電話、メール、対面などの基本ルール

フレーズ・NG表現

よく使う言い回しと避けたい表現

クレーム対応のエスカレーション判断基準表

クレームの状況

一次対応者の対応

引き継ぎ先の例

一般的な操作方法やサービスへの問い合わせ

必要な情報を案内し、対応履歴を記録する

原則、一次対応で完結

担当者の権限を超える返金・補償の要求

要求内容と事実関係を整理し、独断で約束しない

上司・責任者

製品やサービスの重大な不具合

発生状況や影響範囲を記録し、速やかに報告する

技術部門・責任者

個人情報の漏えいが疑われる

関連情報を記録し、社内規定に従って速やかに報告する

情報セキュリティ部門・責任者

契約上の紛争や法的判断が必要な問題

事実関係を整理し、独断で回答・約束しない

法務部門・責任者

暴言・脅迫など従業員の安全を脅かす行為

安全確保を優先し、社内の緊急対応手順に従う

上司・責任者・安全管理担当

※上記は一般的な判断基準の例です。実際のエスカレーション条件や引き継ぎ先は、自社の対応権限や業務内容、緊急時の対応ルールに合わせて設定してください。

チャネルごとに注意点も異なります。電話では声のトーンや復唱、保留・折り返しの方法を決めておくと対応を統一できます。メールでは要点を整理し、事実確認と今後の対応を明確に伝えることが基本です。

対面では周囲の顧客や個人情報に配慮し、落ち着いて話せる環境を確保します。こうした違いもマニュアルに整理すると、状況に応じた対応を取りやすくなります。

メール対応については、「問い合わせメールの返信方法|書き方・マナーと例文を解説」も参考になります。

クレーム対応マニュアルの作成方法

実用的なマニュアルにするには、一般論だけでなく自社の実態を反映する必要があります。

1. 過去のクレームと現在の対応方法を整理する

まず、過去に発生したクレーム内容や対応方法を確認します。どのような内容が多いのか、誰が対応しているのか、どこで判断に迷っているのかを洗い出します。必要に応じて、現場担当者へのヒアリングも取り入れます。

過去事例を整理することで、自社のマニュアルで優先して扱うべき内容が明確になります。

2. 基本方針と対応フローを決める

基本方針と対応フローは、現場で判断しやすい形式にまとめます。

各工程について、担当者、実施する作業、必要な記録、次の工程へ進む条件を整理しましょう。対応手順をフロー図にする際は、解決できなかった場合の分岐や、責任者へ引き継ぐタイミングも示します。

3. 役割分担とエスカレーション基準を設定する

エスカレーション基準をマニュアルに反映する際は、対応権限を持つ役職や部署を明記します。

責任者が不在の場合の代理担当者、緊急時の連絡手段、引き継ぎに必要な記録も設定しましょう。判断基準表とあわせて連絡体制を整えることで、現場で迷った際にも対応を進められます。

4. 対応例やフレーズを加える

マニュアルには、担当者がそのまま参考にできる対応フレーズを盛り込みます。受付時のお詫びや事実確認、折り返しの案内など、使用頻度の高い場面を優先しましょう。

受付時

ご不便をおかけし、申し訳ございません。詳しい状況をお聞かせいただけますか

事実確認

状況を正確に把握するため、発生した日時と具体的な内容を教えていただけますか

折り返し

担当部署に確認し、〇月〇日〇時までにご連絡いたします

責任者への引き継ぎ

詳しい確認が必要なため、責任者に状況を共有して対応いたします

例文は実際の運用ルールに合わせて調整し、回答期限は社内で確認したうえで案内します。

5. 現場で試して修正する

マニュアルを作成したら、実際に利用する担当者に確認してもらいます。ロールプレイを行うと、「判断基準が分かりにくい」「必要な情報を探しにくい」といった改善点を見つけられます。

現場の意見を反映し、実際の対応で使える内容へ修正してから運用を始めます。

クレーム対応マニュアルを形骸化させない運用のポイント

クレーム対応マニュアルを形骸化させない運用のポイント

マニュアルは作成しただけでは十分ではありません。必要な場面ですぐ確認でき、実際のクレーム事例を継続して反映できる状態を保ちましょう。

関係する従業員・部署へ共有する

クレーム対応に関わる従業員や部署が、必要なときにマニュアルを確認できる環境を整えます。

保存場所が分からない、最新版か判断できないといった状態では、マニュアルが活用されません。社内ポータルや共有システムなど、確認する場所を決めておくと、必要な情報を探しやすくなります。

研修やロールプレイで実践する

クレーム対応マニュアルは、新人だけでなくカスタマーサポートに関わる従業員の教育にも活用できます。研修やロールプレイを通じて、状況に応じた判断力や対処能力を養います。

特にクレーム対応の経験が少ない担当者には、具体的なケースを使った練習が効果的です。実際の場面を想定することで、マニュアルを読むだけでは気づきにくい課題も把握できます。

判断に迷った場面や対応しづらかったケースがあれば、今後の研修やマニュアルの改善に反映します。

対応事例を蓄積してナレッジ化する

クレーム対応の経験を組織のナレッジとして蓄積するには、記録する項目を統一します。

具体的には、発生日時、クレームの内容、原因、対応方法、解決結果、再発防止策などを記録しましょう。個人情報の取り扱いや閲覧権限にも配慮しながら共有することで、類似する事例への対応やマニュアルの改善に活用できます。

状況に応じて定期的に見直す

新しい種類のクレームが増えた場合や重大なトラブルが発生した際は、マニュアルを見直すタイミングです。商品・サービスの内容や社内ルールを変更したときも、対応手順の更新が求められます。

更新担当者を明確にし、実際の対応事例を継続して反映できる仕組みを整えましょう。

クレーム対応の履歴やナレッジをまとめて管理したい方へ RightDeskなら問い合わせ管理と情報共有を一元化し、マニュアルの継続的な運用を支援できます。

クレーム対応を効率化するなら問い合わせ管理システムも有効

問い合わせ管理システムは、クレーム対応マニュアルの運用を支えるツールです。メールやExcelなどに分散した対応情報をまとめ、担当者間で共有できる環境を整えます。

ここでは、対応履歴の共有、エスカレーション状況の把握、ナレッジ活用という3つの使い方を紹介します。

対応履歴を一元管理して引き継ぎ漏れを防ぐ

過去のやり取りを一元管理すれば、担当者が変わっても、それまでの経緯を把握したうえで対応できます。

顧客に同じ内容を繰り返し説明してもらう負担を減らせるほか、二重対応や引き継ぎ漏れの防止にも有効です。

RightDeskのZendriveでは、複数チャネルからの問い合わせをチケットとして管理し、対応履歴をまとめて確認できます。

担当状況とエスカレーションを可視化する

クレーム対応では、担当者だけでは判断できないケースを適切な責任者へ引き継ぐ必要があります。

誰が対応しているのか、現在どの段階にあるのかを共有できれば、対応漏れや重複対応の防止にも有効です。

問い合わせ管理の仕組みについては、「問い合わせ対応を効率化するには?重要である理由や課題点も紹介」も参考にしてください。

過去のクレームをFAQ・ナレッジとして活用する

蓄積したクレーム履歴から、繰り返し発生する質問や対応方法を抽出し、FAQや社内向けの手順書に整理します。

RightDeskのDocudriveでは、FAQやマニュアルをまとめて管理できます。対応担当者が必要な解決手順を検索・参照できるようにすることで、過去の事例を日常業務に活かせます。

クレーム対応マニュアルに関するよくある質問

クレーム対応の4原則とは?

クレーム対応について、公的に定められた共通の「4原則」はありません。一般的には、相手の話を聞いて心情に配慮し、事実関係を確認することが基本です。そのうえで解決策を検討・提示し、対応内容を記録して再発防止につなげます。

自社の業務内容に合わせて対応方針を整理し、マニュアルに明記することが大切です。

クレーム対応でやってはいけない3禁は?

クレーム対応で避けたい代表的な3つの行動は、相手を頭ごなしに否定すること、言い訳をすること、感情的に反論することです。

ただし、公的に統一された「3禁」があるわけではなく、企業や研修機関によって内容は異なります。事実確認前に結論を出したり、担当者の権限を超える約束をしたりすることにも注意しましょう。

クレーム対応が上手な人の特徴は?

クレーム対応が上手な人は、相手の話を冷静に聞き、感情と事実を分けて整理できます。すべてを自分で解決しようとせず、自分の判断範囲を理解して、必要な場合は上司や専門部署へ相談できることも特徴です。

こうした対応力は個人の性格だけで決まるものではなく、マニュアルや研修を通じて身につけられます。

クレーム対応で上司や責任者へ引き継ぐタイミングは?

担当者の権限では判断できないときや、高額な補償・返金が関係するときは、責任者へのエスカレーションを検討します。対応が長期化しているケースも同様です。

法務や技術部門など、専門的な判断が必要な案件についても早めに相談します。マニュアルには、引き継ぐ条件と担当部署をあらかじめ定めておきましょう。

クレーム対応マニュアルには何を書けばよいですか?

クレーム対応マニュアルには、基本方針や対応手順、クレームの分類を記載します。加えて、担当者の役割と権限、エスカレーション基準、対応履歴の記録・共有方法も明記します。

電話・メールなどチャネル別の対応方法や、よく使うフレーズ、NG対応もまとめておくと実務で活用できます。

クレームとカスタマーハラスメントの違いは何ですか?

通常のクレームには、商品やサービスに対する正当な苦情や改善要求が含まれます。一方、カスタマーハラスメントは、顧客等の言動が社会通念上許容される範囲を超え、労働者の就業環境を害する場合などが該当します。

通常のクレームとカスハラを区別し、それぞれに適した対応ルールを整備する必要があります。

まとめ|クレーム対応マニュアルで対応品質を標準化しよう

クレーム対応マニュアルでは、基本手順とNG行動、担当者の判断基準を明確にすることが欠かせません。現場で使える内容に整えることで、対応品質のばらつきや担当者の負担を抑えられます。

作成後も対応事例を蓄積し、研修やナレッジとして活用しながら内容を更新します。

問い合わせ管理システムを利用すれば、対応履歴や担当状況を一元管理し、引き継ぎや情報共有の効率化にもつながります。マニュアルと対応履歴、ナレッジを組み合わせ、属人化を防ぎながら安定したクレーム対応体制を整えましょう。

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